8/8から10/31までの期間で募集をした「盛岡・北上川左岸側開運橋袂エリア再整備デザインコンペ」(通称:開運橋コンペ)の1次審査会が11/12(木)に開催され、申込数24件、応募作品の中から入選作品5点が選ばれましたので、入選作品と応募者名及び審査講評を公開するとともに、今後の審査予定などを掲載しています。
※入選作品に関して、データの全部または一部の盗用・剽窃を防ぐため、画像に加工処理を施しています。制作者の表現したディテールを損なっている部分がありますが、ご了承ください
※入選作品の掲載は順不同、入選者は法人格および敬称を省略しています
一次審査を振り返って(北原啓司委員談)
表現者として自分のやりたいことを可能な限り進めていく強さと、その土地が発する過去からの贈り物、そして何よりも未来に向けて育てられていくその「空間」を「場所」にしたい人々の想いが、シンクロするような共創的提案を選びたいし、主催者側がそれを実現するという強い気概を、このコンペを通して育てて行きたいと思いました。
入選作品
入選作品1
まちの小さな魅力をハイライトに残す、道と広場
◎園田慎二(園田慎二建築設計事務所)
小高ちひろ(DEW STUDIO 一級建築士事務所)
【審査員講評】
テーマの解釈と現状分析がセンスよくなされているほか、敷地内に通り抜けの通路を設け、機能別に1画地を2つの街区に分割する考え方はとても良いと思います。また、建物の外観に込められた思想は、盛岡の風土性がうまく表現されていると思います。ただし、事業性という点でいえば、施設が小規模になることにより、直営とリース方式で展開される各事業の収益で全体を運営するのは、少し厳しい印象を受けました。
入選作品2
風が運び、土が生む morioka 1-1 BANCHI
◎畠田恵(スタジオハタケランドスケープ)
吉武駿(信州大学農学部ランドスケープ・プランニング共同研究講座)
高梨日出夫(中央復建コンサルタンツ)
香川翔勲(トベアーキテクト)
【審査員講評】
募集要項の解釈から現状分析、体制やプログラムに至るまで、秀逸だと思います。「パブリック」を公共の機能に寄せるのではなく、民間事業であることを勘案して、公共性の提案ができています。また、広場を川側ではなく、町側に設けているところも興味深いですが、プレゼンボードには川側から見た建物が表現されていないため、周囲との調和等に関する意匠(工夫)も見てみたかったです。
入選作品3(佳作)
アワイモリオカ モリオカアワイ
◎片島徹、吉田葵、小野寺美咲(ケイズクリエイツ)
釜田翼(studio ktm)
駿河友弘(TOMOStudio)
藤田幹雄(3unny scape)
【審査員講評】
アイソメをメインで見せるという表現技法によって、伝えたいことが伝わり、目を見張るものがありました。提案の中身に関して、整形の中に造形的にも機能的にも、多種多様な空間(あわい)が広がるというイメージはとても興味深いものですが、一方で、対岸から見た時のダイナミズム、テラス最上階の余白などを考慮すると、上階の規模をシュリンクしても良かったのではないでしょうか?通空の空間にあっては、冬場の状況にも懸念が残りました。次に、ホテルに関して、学生のパンションとのデュアル展開には優良事例もあり、一つのあり方として認められますが、シングルルーム主体のビジネスホテルは盛岡市内・エリア内に競合が多く、既存ホテルの稼働率を見てもブルーオーシャンといえる状況ではありません。ナショナルチェーンと比べてサービス優位になれるイメージも湧かず、事業性の面で不安がありました。なお、仮にミドルクラスのホテルを提案した場合は、パンション展開との相性が悪くなるため、全体の機能ありきでご提案いただいた中では致し方ないものであると理解しています。
入選作品4
Morioka Media Mix
◎中居真一、中居佑介(中居都市建築設計)
【審査員講評】
中高層ホテルの提案に限っていえば、駐車場を含めたゾーニングが主催者のイメージに一番近かったのは本作品でした。特に、グランドレベルで考えた場合、盛岡に今までなかった象徴的な空間と場所へ、昇華されていく可能性を感じました。また、導入機能を除けば、すぐに基本設計に取り掛かれそうな熟度がありました。もう少し踏み込んだ機能のご提案があれば、評価はさらに高まったと思います。
入選作品5(佳作)
盛岡ならではのモノでつくるアーツクラフトノード / 川辺を活かしたウォーカブルな立体テラス
◎清水襟子(清水・成澤デザインチーム/清水襟子建築設計事務所)
成澤佳佑(清水・成澤デザインチーム/成澤佳佑建築設計事務所)
【審査員講評】
デザインコードやモバイルファニチャーなど、細部にも有用かつ盛岡らしい、非常に興味深い要素が多くありました。空間とアクティビティがセットで提案されており、運営のイメージも湧きやすい提案でした。一方で「アート」という象徴的で少し茫漠としたテーマを取り扱うのは本当に難しいですね。内包する機能、実現のためのプロセスにはもう少しだけ具体化が欲しかったと思います。空間面でいえば、前面道路と対象地とがシームレスな空間になるのは良いと思いますが、GLの屋外空間が若干無機質な印象であり、建物のエッジで切り取られているような印象を与えてしまうのは、もったいないと思いました。
なお、入選5作品のうち、上位3作品(入選作品1,2,4)の評価点が高く、5作品を横並びと見做して二次審査を行うことが憚られたため、審査員間で協議を行い、上位3作品は優秀賞以上を確定の上、二次審査の対象作品として選出し、入選作品3,5の2作品は、現段階で佳作として確定することとしました。
今後の予定
(1)二次審査会の開催について
12月19日に盛岡市内の会場において、入選3作品の提案者を対象として、プレゼンテーション及び質疑応答による審査を開催します。一次審査を担った下記3名の審査委員に加え、ファイナンス(財務)とデベロップメント(開発)の専門家を招聘し、5名体制で実施します。
審査委員長 岩手自動車販売株式会社代表取締役 山田 康夫
審査委員 弘前大学教育学部特任教授 北原 啓司
審査委員 総務省地域力創造アドバイザー 臂 徹
ほか2名(別途公表予定)
(2)審査結果の公表について
審査の結果については、二次審査会の当日または翌日、受賞者に対して通知するとともに、本ウェブページにて、速やかに公表します。
(3)企業賞について(NEW!)
盛岡の中心市街地で事業を手掛ける企業の皆さんに、お気に入りの作品を選んでいただくこととなりました。二次審査の結果とともに本ページにて公開します。
なお、企業賞は入選の有無に関わらず、全応募作品の中から選ばれます。お楽しみに!

